
(画像:Geneva Historical Society引用)
スコットが演奏している音源からはどれも暖かいウッドベースのサウンドが聴ける。
これは前にも述べたように、日々の練習と楽器に対する探究心と愛の賜物なのであろう。
他にもスコットのベースに対する探究心を感じる作品を、この章ではいくつか紹介しておこう。
ビクター・フェルドマンとスタン・レベイとのトリオのアルバム”The arrival of Victor Feldman”から”BeBop”。
この曲ではスコットによる超高速ウォーキングが聴ける。
恐らくスコットはツーフィンガーで交互に弦を弾いていると思われるが、裏拍にアクセントを置いた、ツーフィンガーとは思えない一糸乱れぬウォーキングである。
またRichie Kamucaのクインテットにおける演奏から”Cherry” 、“Chart of My Heart”も外せないだろう。
というのもロサンゼルスの(スコットは一時期活動の場所を西海岸に移動していた)KABCスタジオでライブ録音されたこの音源は、その音源を演奏するスコットの映像が現存しているのだ。
スコットが演奏している場を捉えた映像はこれ以外に見つかっていない。
ソロを演奏する姿も捉えたこの映像からは、スコットがどのような姿勢、指の位置で弾いていたかも分かる。
やはりこの時代には比較的珍しく、ツーフィンガーでソロを取っていたことが分かるだろう。
スコットが演奏している音源で、エヴァンストリオのアルバムの次に有名なアルバムといえばやはり、Marty Paichの”The Broadway Bit”であろう。
ビッグバンドであるため、スコットのベースの真髄である他の楽器と絡み合うようなプレイや、主旋律を奏でることは少なく、ベースの音量は小さめにミックスされている。
しかしこのアルバムは名盤というほどだけあって、楽器全体がかなり良い音響で録音されており、ベースのサウンドも指板と弦が触れあう音も聞き取れる。
(文:矢吹真吾 編集:濱田真秀)