JazzLife Style

音楽は0円に限りなく近づく

情報機器の発展によって、インターネットを使うことが当たり前の社会となった今、ミュージシャンは今まで以上にクリエイティビティが求められているように感じるのは私だけだろうか。

というのも、音楽というコンテンツを売ること自体、時代遅れとなりつつあるからだ。

 

例えば、ひと昔前までは着うたなど、1曲200円くらいで曲を買っていた時代があった。その前には、5曲入りで1000円くらいのCDやレコードが売れていた時代があった。

しかし現在、ストリーミング配信サービスで毎月1000円ほど払えば、どんな音楽でも無限に聴ける時代になった。

こうした背景を踏まえれば、今日の音楽の単価が下がっていることは自明である。

 

しかし、これは音楽に限った話ではない。デジタルコンテンツ全般で起きている話だ。

例えば、映像や写真、本までもが、一定額の料金を払えば堪能することができる。

映画は映画館で見て、本は一冊づつ本屋さんで買うという、いわゆる常識というものが、今後通用しなくなってくる可能性だって十分考えられるのだ。

 

クリエイター側からすれば、単価が下がり稼げなくなってくるので、「昔の方が良かった」と悲観する人も出てきてもおかしくない。

しかし、社会全体を通してみれば、こうしたサービスは世のために貢献できているとも言える。CDショップに行く必要もないし、パッケージ音源をモバイル端末にインポートする必要もない。

スーパーやコンビニエンスストアが生まれ、八百屋が潰れていくように、時代も便利な方向へ、刻々と進んでいる。

 

もちろん、ゼロか100かの話ではない。

今売れているミュージシャンが全員淘汰されるわけでもないし、パッケージ音源で食べていく人だって中にはいるだろう。

 

だが、私は音楽コンテンツからのアプローチによってミュージシャンを守りたいわけではない。

ミュージシャンもまた、新しい仕組みによって市場を促進することができると感じるのだ。

その新しい仕組みとは一体なんだろうか。

それは、「ミュージシャンとオーディエンスのインタラクティブ体験」である。

その根拠づけとなるのが、ライブ市場の拡大だ。

一般社団法人コンサートプロモーターズ協会によれば、この10年でライブ市場は約3倍となる数値を記録している。

 

ライブ市場は、まさしくミュージシャンとオーディエンスのインタラクティブ体験が成立できる1つの空間であり、ライブパフォーマンスや、インタラクティブ体験が多様化していくことは、今後ライブ市場の拡大の1つの鍵となるだろう。