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これからの音楽家の稼ぎ方

ミュージシャン 音楽家
トランペット

‪「音楽家」という商品‬

音楽家という「商品」‪に求められるもの。‬
‪それは、素晴らしい音楽を提供するということだ。‬
‪これまで、プロの音楽家の世界、箱の世界、有名プロダクションの世界、レーベルの世界など、あらゆる世界を見てきた。‬
‪結論から言うと、皆あまりに音楽家という商品に「集客力」を頼りすぎている現状がある。‬
‪もう一度言うと「音楽家」という商品‬‪に求められるものは、素晴らしい音楽を提供することだ。‬

‪では素晴らしい音楽を提供することに、集客力は存在するのだろうか。‬
‪極論、集客力は存在するが音楽自体への価値は0円といったところだろう。‬
‪なぜなら、“YouTubeやSpotifyなどクラウド上の世界が発達したことによって、いつでもどこでも誰でも素晴らしい音楽を聴くことが可能な世界”になったからだ。‬
これは音楽家にとっては、自分の商品が安売りされているがために決して良い思いはしないだろう。
しかし、視点を変えてみると、音楽家でない多くの人々および社会にとってみれば、聴きたかった音楽が簡単に聴くことができるようになったため、社会的にはメリットが大きいといえる。

膨れ上がるライブ市場

しかし、音楽自体への価値は0円といった背景の中で、ライブパフォーマンスではどうだろうか。
一般社団法人コンサートプロモーターズの調査によると、ここ10年でライブ市場は3倍にまで膨れ上がっている。(参照:http://www.acpc.or.jp/marketing/
音楽フェス等巨大なイベントの台頭がその数字を裏付けているだろう。
一方で、ライブハウス事情は厳しい。
ジャズ箱をはじめ、そのほかライブハウスでも次々と閉店の情報が飛び込む。

しかし、これらの情報を整理すると、大変合理的だ。
結論から言えば、素晴らしい音楽とそうでない音楽を簡単に見分けることができるようになったため、ライブ市場でも上位層と下位層の差は極端に広がっている。
一つずつ整理すると、“YouTubeやSpotifyなどクラウド上の世界が発達したことによって、いつでもどこでも素晴らしい音楽を聴くことが可能な世界”において、話題性のある音楽はたちまち拡散される。
その拡散力はSNSなどを通じて計り知れない力を秘めている。良い音楽であればあるほど、である。
例えば、YouTubeで公開されたミュージックビデオで1000万回の再生回数を記録することとシングルのCDを1000万枚売ることはどちらが容易であろうか。
どちらも簡単な話ではないが、比較論では前者が容易であろう。
すなわち、良い音楽は以前よりも速いスピードで拡散され人々の耳に届くのである。
こうしたことから、良い音楽とそうでない音楽の差が数字的に見ると極端に広がり、人々に、それらの音楽家やミュージシャンの名が、以前に増して知れ渡っていくのだ。
だからこそ、ライブパフォーマンスも大きいものと小さいものにより乖離が生まれ、中位の規模の箱、ライブハウスは淘汰されていくと分析できる。

音楽の新しい役割

ここまでまとめた上で次に言えることが、「音楽の名刺化」である。
音楽自体への価値は0円になり、以前に増して音楽が拡散されていく現状はまとめた。そんな中、音楽の役割が「商品」ではく「名刺」に変化していること、これが「音楽の名刺化」である。
人々は音楽を容易に聴くことができるからこそ、次にその人々を「顧客」にするためには、ライブに来ていただき、ミュージックチャージを獲得する必要がある。そんな顧客作りの一つには、名刺を差し出すことによって獲得することができる。言い換えると、音楽家はできるだけ多くの人に名刺を渡し、顧客を獲得する必要があるだろう。

以前までこうした作業を必要としなかったのに、なぜ現代では多くの人に名刺を渡すといった手間や負担が音楽家にかかるのか。
理由はいくつかあるが、2つほどにまとめた。

まず1つ目に、音楽事務所の役割が時代についていけてない現状がある。
大手音楽事務所やプロダクションのそれまでの役割といえば、音楽家を大手メディアに繋げたり、レコード会社、CD会社に繋げたり、といったように繋ぐ役割を担っていた。
しかし、YouTubeやApple Music、Spotifyなどインターネットを通じてCDが売れない、言い換えると、CDを通して音楽を売らずに音楽を名刺化することによって、レコード会社やCD会社の存在価値の真価が問われる。
また、メディア出演や大型フェスの出演も同様だ。今では、大手メディアや大型フェスでも、事務所ではなくインターネットを通じて、前途有望な音楽家を発掘することができる。今後は、大手メディアでなく、YouTube等のインターネットを通して話題を呼ぶ方が顧客作りは強いと感じる。
こうしたことから事務所が今まで大手メディアやレコード会社に音楽家を繋ぐ役割が不要になってきている。

そして2つ目に、自分で自分を宣伝することができるようになったからだ。現在、SNSを通じて、具体的にはTwitterやInstagramなどを通して、自分で自分を宣伝することができる。一般的に、これらはセルフプロモーションと呼ばれるが、今後音楽家はセルフプロモーションを避けて通ることはできない。
しかしこれは悲観することではないと感じる。
セルフプロモーション自体を楽しむことによって、自分の音楽が多くの人に知ってもらうことに素直に喜びを感じることが大切だと考える。

最後に

ここで忘れてはならないのが、音楽家という「商品」‪に求められるもの。‬‪それは、素晴らしい音楽を提供するということである。
経営的視点では当たり前の話だが、集客力がないのに集客を頼ってしまっている音楽家をブッキングしているライブハウスやイベントは経営的に難しい。
また、誤解を招く表現であるため、踏み込んで説明すると、音楽家に「集客力」を頼りすぎている現状があるだけで、音楽家の集客力のキャパシティでイベントやライブができるのであればどんどんすれば良いと思うし、桁違いに集客力があるミュージシャンや音楽家も非常に増えているからこそ、巨大な音楽フェスも増加して、ライブ市場が10年間で3倍に膨れ上がってるのだろうから、こうした音楽フェスが盛り上がることは大変素晴らしいことであると感じる。

そして是非、音楽業界に携わる多くの人が「音楽家」という商品‬の取扱説明書をもう一度読んでもらいたいと思う。

(文:濱田真秀)