ジャズのルーツ

 

「ドイツは毒ガスを用いても、世界を征服できなかったが、アメリカはジャズだけで

世界を征服した。」

ジャズを誇る有名な言葉がある。

 

現代の音楽だけでなく、社会全体にも大きく影響をもたらしてきたジャズ音楽は、今から遡ること100年以上も前に、アメリカ合衆国のニューオリンズにて、南米の奴隷制プランテーションによって渡ってきたアメリカ黒人、いわゆるアフリカン・アメリカンやアフリカ系アメリカ人と呼ばれる人々が生み出した。

当時、南北戦争に負けた南軍の払い下げ軍楽器でアフリカ系アメリカ人たちが演奏した音楽がジャズの発祥となったとされている。

 

すなわち、ジャズを生んだ人々のふるさとはアフリカにあり、同様にアフリカ人がアメリカの地に足を踏むことがなければジャズ音楽は誕生することはなかった。

 

しかし、西洋音楽とアフリカ音楽の融合によって誕生したと言われているジャズ音楽だが、未だ深く開拓されていないのが現状である。

例えば、アフリカの言語学者によると、アフリカで母語とされている言語は見方によっては3000種類あり、それに伴う民族や文化が存在することから、南米の奴隷制プランテーションにおいて、奴隷たちが持ち寄った文化が、一体どのようなものかは詳しく解明されていない。

 

ここで興味深い事例を紹介してみる。

それは、ジャズを牽引してきたミュージシャンの多くがイスラーム教徒であったことである。

ビ・バップを創始したチャーリー・パーカーをはじめ、スーパースター達であるジョン・コルトレーンやディジー・ガレスピー、ジャズメッセンジャーズのリーダーを務めたアート・ブレイキーまでもがイスラーム教に改宗をしたと言われている。

また、特筆すべき点として、120人以上のプロのジャズミュージシャンがイスラーム教徒である記録が残っている。(注1)多くの人々を魅了させ続けた彼らが、一体どのような経緯でイスラーム教徒になったのかを考えることは、ジャズ史に限らず、音楽史を知る上で大変重要な位置付けであるはずだ。

注1:https://jazzdiscography.com/fitzgera/muslim.htm

 

これは、イスラームだけでなく、他の事例にも同様のことが言える。

ジャズやジャズ以外の音楽でも、そのルーツを知ることによって新しい発見があるはずだ。

 

(文:濱田真秀)