楽器屋さんなどでオーディオを購入しようとしたり、あるいはギターアンプを使用したりするときに、よく耳にする”真空管アンプ”。
でも、真空管アンプという言葉は知っていても、その仕組みや他のアンプとの違いなど、詳しいことまで知らない方の方が多いのではないでしょうか。
というわけでこんにちは!
Jazz2.0編集部の濱田です。
真空管アンプで音楽聴く音楽は、優しく包み込まれるような音色と、マイルドで耳馴染みの良い真空管でしか聴くことのできない響きがあるんです。
今回は、そんな真空管アンプについて紹介します。
それでは参りましょう!
真空管アンプってなに?
そもそも真空管アンプとはなんでしょうか。
真空管アンプとは・・・、
ズバリ!
真空管を使用したアンプのことです!
「真空管ってなんやねん。。。」
・・・・、
ですよね。
というわけで真空管について紹介します!
真空管とは
真空管とは、電極が入ったほぼ真空状態の管のことです。
ものによっては、アンプの中に組み込まれていたり、むき出しになっていたりします。
写真の赤い部分が真空管です。
真空管アンプで使用される管の大半はガラスでできた管です。
拡大するとこんな感じ。
電極とは、金属の板などでできた導体のことです。
フィラメントと呼ばれるような電子を放射する金属の板と、その動きを電圧でコントロールする金属の板が、封入されています。
わかりやすく言うと、電気が出るプラスと電気が入るマイナスの金属板が、真空状態のガラス管の中に封入されているのが真空管です。
真空管の仕組み
真空管は、電気信号をコントロールする役割を担います。
上の図は、真空管の中でも最もシンプルな仕組みである”二極真空管”(二極管)です。
真空中で電子を放出する電極(陰極、カソード、フィラメント)に電流を流すと温められ、熱電子が放出されます。
間に空気があるとうまく電子が陽極へ移ることができないため、中が真空となっています。
上の図は“三極真空管”(三極管)です。
二極管をもとにしてつくられた真空管で、プレート(陽極)とフィラメント(陰極)の間にグリッドと呼ばれるものがあるのが三極管です。
グリッドは、電子をコントロールすることができ、これにより電気信号を増幅または抑制することができます。
そしてグリッドがさらに増えた状態が四極真空管、五極真空管といった多極管とも呼ばれるかたちで、増幅、整流、変調といったコントロールがさらに幅広くなります。
真空管の歴史
1884年(明治17年)、エジソンが白熱電球の実験中に発見した「エジソン効果」をもとに、1904年(明治37年)に、右手の法則(下図)などで有名なフレミングが発明しました。
フレミングが発明した真空管は、二極真空管と真空管の中でも一番シンプルな構造のもので、その後1906年にリー・ド・フォレストが三極真空管を発明しています。
最初の真空管は、無線の検波が目的でした。
というのも、当時無線通信を成功させるためには、プラスの波だけ取り出して元の形に戻す必要がありました。
しかし、エジソン効果を知ったフレミングが二極真空管を発明したことで、高周波から音声情報を取り出して電気信号に変えるために、不可欠だった整流技術が、真空管を用いることによって、無線で送られてきたモールス信号の鮮明な受信に成功したのです。
2年後には、さらに改良された三極真空管をリー・ド・フォレストが発明したことで、ラジオやオーディオ等に広く使われていきました。
(下画像:昭和37年発売 松下電器産業 真空管ラジオ Amazonより)
その後1960年代まで、真空管は多くの人々に広く使われてきましたが、トランジスタ(電子回路において、信号を増幅またはスイッチングすることができる半導体素子)の普及により、真空管は姿を消し始めました。
しかし、ある時から音の性格の良さとして真空管が再び注目されるようになります。
それまで、実用的な用途として存在していた真空管は、徐々に趣味として音のキャラクターを求める動きへと変わっていきます。
こうして現在に至っても、音楽の世界では真空管が愛されています。
真空管アンプの特徴
どんな音?
真空管アンプの特徴は、なによりもその音のキャラクターにあります。
柔らかくて優しく包み込まれるような音が特徴的です。
というのも、真空管は「倍音」という整数倍の周波数による振動成分が豊かに放出されるからです。
楽器や動物の鳴き声、サイレンなど、あらゆる音には「倍音」が含まれています。
それらの音の持つ基本の周波数と、2倍、3倍と整数倍の周波数があり、それらの振動によって生まれるのが倍音です。
この倍音によって、トランペットはトランペットの音、ピアノはピアノの音と認識できるのです。
「倍音」は「高周波歪み」と呼ばれたりします。
基本周波数の偶数倍の周波数は「偶数次高調波歪み」、奇数は「奇数次高調波歪み」で、人間にとって「奇数次高調波歪み」は不快に感じ「偶数次高調波歪み」は心地良く感じると言う特性があります。
そして、真空管アンプが信号を増幅する時は、「奇数次高調波歪み」が消され、「偶数次高調波歪み」が強調されます。
だからこそ、真空管アンプから流れる音は心地良い音に聴こえる、ということなのです。
トランジスタとの違い
下Youtubeは、真空管と電子機器の比較動画です。
英語で真空管は「vacuum tube」とか「tube」と呼ばれます。
「Solid State」はトランジスタという意味です。
こちらもわかりやすい比較動画です。
古くのオーディオは全て真空管アンプでしたが、挙動の安定性や消費電力の少なさから、現在ではほとんどがトランジスタに置き換えられました。
しかしトランジスタの音は、広範囲の音域や多くの情報量をカバーしていることから、「奇数次高調波歪み」とよばれる人間が不快に感じる音の成分も網羅しているため、真空管と比較すると、耳に比較的冷たい印象を抱きやすいです。
そのため、オーディオマニアからは真空管は絶大なる信頼を勝ち取っており、真空管は現代もなお愛されています。
真空管アンプの選び方
アンプの形式で選ぶ
一般的なアンプとされる、プリアンプとパワーアンプが一体化したプリメインアンプが初心者にはおすすめです。
プリメインアンプは、初期費用を抑えることができる上に、操作も比較的簡単です。
プリメインアンプに慣れてきたら、セパレートアンプタイプでも十分に楽しめることができます。
セパレートアンプタイプは、細かな設定が必要なため、オーディオ初心者にはおすすめできませんが、音にもっとこだわりたい方には、セパレートアンプタイプで細かい部分まで音にこだわることができます。
出力の大きさで選ぶ
真空管アンプの出力は、シンプルな回路においては小出力である一方、複雑な回路においては出力が大きくなり、出力が大きくなればなるほど真空管アンプらしい音から後退していくという特徴があります。
目安として、家で大きな音で音楽を聴く方は10Wほどの出力があれば十分に楽しむことができます。普段部屋で大きすぎない音で音楽をかけている方は、数Wほどの出力で大丈夫です。
初心者の方で、どれにすれば良いかわからないという方はシングルアンプがおすすめです。
管の種類で選ぶ
真空管の管には、「MT管」「GT管」「ST管」の3種類があります。
現在、主流になっている「MT管」、大出力管に使われる「GT管」、MT管よりさらに古く大きい「ST管」と真空管の管の種類によって特徴が異なります。
音にこだわりたい方、コスパを重視する方などによっておすすめの管は違ってきますので、確認しておきましょう。
おすすめの真空管アンプはこれ
FX-AUDIO- TUBE-01J
家電批評誌 2018年 クラスDアンプ部門 ベストバイ製品を受賞した、ノースフラットジャパンの真空管式プリアンプ。
現在Amazonのプリアンプ部門で人気一位で、初回販売100台は2分で完売。
その人気の理由の秘訣は、ハイコスパで高音質なモデルと、機器としての信頼性にあります。
ELEGIANT Bluetooth真空管プリメインアンプ
Bluetoothが搭載されており、スマホなどからワイヤレスで再生できる真空管パワーアンプ。
100wの大出力で高い音質を実現した真空管アンプで、コンパクトで持ち運びもできる上に30日間の返金対応と90日間の保証がついているので、手厚いサポートも魅力。
Amazonではベストセラーに輝いている商品。
AIYIMA TUBE-T2
Bluetooth5.0に対応しているプリアンプで、コンパクトであるがゆえに置き場所にも困らないハイコスパの真空管アンプ。
オリジナル6J1チューブを使用しており、基板レイアウトは妥当で、美しく、そして電流は小さめ。
T-88a
10年以上愛され続けるロングセラーアンプに更なる改良を加え、重厚感あるフォルムと相まって新たな音楽再生の世界を実現した高級真空管アンプ。
半導体回路、音質を知り尽くしたエンジニアが真空管デバイスを採用し先進的な音楽性を求めて創り込んだ逸品。
HiFi 6J5真空管プリアンプ
Bluetooth対応でコードレスに音楽を楽しむことができる上に、青とオレンジ色の光の絶妙な外観は、ファッショナブルで魅力的です。
32-300Ωヘッドフォンを駆動できる2PCS NE5532クラシック47ヘッドフォンアンプアーキテクチャを採用し、バイパススイッチは、トーンコントロールをオン/オフするように設計されています。
Amazonでは堂々のベストセラー商品となっています。
Nobsound NS-10P Mini
片手で持てる超小型の真空管アンプ。
超小型なのにクリアな音質で、ほとんどすべての増幅回路に適しています。
ファッショナブルなデザインも人気の一つで、お財布にも優しい値段であることから真空管アンプ初心者にはおすすめの商品となっています。
高音、低音の調節ができ、1.5~2倍の電圧増幅が可能。
MQ-88uC
真空管アンプの中でも、最も真空管アンプらしさを楽しむことができるロングセラーです。
真空管の動作電圧や放熱構造に余裕を持たせた長寿命設計で、レトロでおしゃれな外観は、インテリアイテムとしても大活躍します。
やさしくて透明度が高く、自然でクセの少ないサウンドで逸品です。
AUKLET-150J-3I
セパレーションに触れる広がり豊かな音、音楽に没頭させる余裕のある音、透明にしてしなやかで表現の幅が広い現代的であか抜けた音、オブジェとしてお部屋になじむ高級感と、真空管アンプならではの濃厚なサウンドを楽しむことができる逸品です。
無調整で手軽に差し替えが楽しめるだけでなく、数十種類の真空管の差替えが可能で、機能面にも優れています。
AIYIMA TUBE-A3 6J1
真空管アンプ初心者におすすめ。値段も安く、真空管アンプらしい音像がハッキリとわかるサウンドを楽しむことができます。
高音と低音の調整ができ、ベースやギターなど強調させたい音をつまみを回すことで楽しむことができます。
それ以外の操作も簡単で、初心者におすすめの真空管アンプです。
RFTLYS EA1A
Bluetoothで接続することができる出力の高い真空管アンプです。
大きなサウンドで楽しみたいという方におすすめで、イヤホンやヘッドホンなどでも楽しむことができます。
本体もおしゃれで、インテリアアイテムとしても楽しめるなど、多様な楽しみ方が味わえる真空管アンプです。
TRIODE Pearl
美しいパールホワイト塗装とブルーLEDによる真空管照明のクールでスタイリッシュなデザインの真空管アンプ。
横幅19cm、奥行き18cmの超小型で、女性に人気の商品となっています。
小型ながらも真空管アンプならではの美しいサウンドが味わえるだけでなく、ヘッドホン端子も装備しているので、普段使っているイヤホンやヘッドホンなどでも楽しむことができます。
ORB JADE Soleil
おしゃれなキューブタイプのデザインで、モダンな雰囲気の部屋にマッチする真空管アンプです。
昔ながらの真空管と現代の技術を駆使したClassDアンプを搭載しており、新旧の技術が絶妙に融合したヘッドフォンアンプ機能付きのプリメインアンプです。
TU-8200R
「真空管」「接続方法」による音の違いをこの1台で手軽に堪能できる、パワフルでナチュラルな音質を持つ出力管6L6GCを使ったシングル動作のパワーアンプのキットです。
出力管は類似管への差し替えに対応し、さらに挿入中の出力管に対して最適なバイアスに自動でセット。また、出力管の動作モードを簡単に切り替えることができ、この1台で真空管アンプの楽しさを存分に満喫できます。
SoundArtist SA34A
ステンレスのスタイリッシュさを活かしたシンプルなデザインで、中低音の力強いサウンドを楽しむことができる真空管アンプです。
中低音のあたたかいサウンドが楽しめるだけでなく、深みのある音も楽しむことができます。
パワフルなサウンドを楽しみたいという方におすすめの商品です。
Nobsound P2
高音、中音、低音を個別に調整でき、その人の好みやスタイルに合わせてサウンドを調整することができる真空管プリアンプです。
価格もリーズナブルで、真空管アンプ初心者にはうってつけの商品です。
ヘッドフォン対応も魅力的で、他の真空管アンプでもヘッドフォン対応のものはありますが、コスパを重視するならこのアンプがおすすめです。
Dilvpoetry R50
小型でスタイリッシュなだけでなく、値段以上の音質表現してくれるコスパ重視の真空管アンプです。
出力される暖かくて柔らかいサウンドは、十分に真空管アンプの魅力をひきたてます。
また、真空管は自由に交換することができるだけでなく、高音と低音をつまみで調整できるなど、機能面に優れたコスパの良い真空管アンプです。
Wonder Pure
スピーカーも鳴らせる真空管ヘッドホンアンプです。
真空管からトランス、ケースまですべてがそろったフルキットで、真空管は名球“ECL82(6BM8)”を採用しています。
アンプ基板は組立完成済。インテリアを引き立てるアクリルケースを採用。
組み立てるのが好きな方や、真空管アンプの仕組みを知りたい方にはおすすめの商品です。
300B シングルエンド
「300B」ならではの彫りの深い豊かな表現力が魅力的な真空管アンプ。
力強くパワフルさを兼ね備えながらも、柔らかくあたたかみのあるサウンドを楽しむことができます。
おしゃれなデザインから感じる高級感は、見た目だけでなくサウンドからも感じることができる逸品。
Vacuum 6W MK2
オリジナル設計の大型出力トランスが搭載されており、ミニサイズながら本格的「真空管サウンド」を再現します。
ヘッドホンで真空管サウンドを楽しみたいというニーズに特化した商品で、コンパクトなデザインとなっていますが、素直で耳障りの良いサウンドを楽しむことができます。
CAV T-5
初段、位相反転、ドライブ段、出力段からなる「4段増幅構成」を採用した真空管ステレオプリメインアンプ。
入力端子、スピーカー端子、GND端子には、接点の安定度にすぐれ信頼性の高い金メッキ端子を採用。長期間にわたり安定した高音質を楽しむことができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
真空管アンプの魅力にますます引き立てられたのではなかと思います。
これを機に、真空管アンプだからこそ、味わうことのできる深くて温かいサウンドと重低音から徐々に包み込まれるような音楽体験をぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
以上、Jazz2.0編集部の濱田でした!
金本
高橋
谷繁