「Fly me to the moon」という曲をご存知でしょうか?
ジャズのジャムセッションなどでもよく演奏されるスタンダード曲ですので、知っている人も多いかと思います。
しかし、「Fly me to the moon」が「人気を得た背景」や「歌詞の意味」などをご存知でしょうか。
「人類が初めて月面で聴いた曲!?」
「原曲は3拍子でタイトルも違う曲だった!?」
「イントロにも歌詞があった!?」
などなど知っていると音楽がさらに楽しくなるかも!
jazz2.0編集部の番場です。
「Fly me to the moon」は、TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングテーマに起用されたことで一躍有名になった曲です。
あまりジャズは聴いたことがないという人でも、知っているのではないでしょうか?
今回はジャズのスタンダード曲「Fly me to the moon」の基本的な情報から、背景知識、歌詞の意味、様々なアレンジやカヴァーなどを紹介していきたいと思います。
ジャズ定番曲「Fly me to the moon」
基本情報
曲名:In other words(原曲)
Fly me to the moon
作詞・作曲:バード・ハワード
リリース年:1954年4月
ジャンル:ジャズ、ボサノヴァ
歌手:ケイ・バラード(初録音)
主なカヴァー:フランク・シナトラ、トニー・ベネット、ドリス・デイ、高橋洋子、CLAIRE、八代亜紀、宇多田ヒカル etc.
「Fly me to the moon」は、1954年にバード・ハワードによって作曲された楽曲です。
歌手ケイ・バラードによって初めてレコーディングされて以来、現在に至るまで様々なアレンジ・カヴァーをされています。
ジャズにおいてもスウィングやボサノヴァのアレンジで、ジャムセッションなどでよく演奏されるスタンダード曲となっています。
原曲と現在のアレンジ
原曲は現在よく耳にするアレンジとは異なり、4分の3拍子で曲名も「In other Word」という楽曲でした。
1956年のアメリカ人歌手ジョニー・マティスのレコーディングの際に初めて「Fly me to the moon」という名前が使われ、徐々にその名前が浸透していったようです。
アレンジに関しても、作曲家ジョー・ハーネルが1962年に4分の4拍子のボサノヴァ風にアレンジしたものを1964年に歌手フランク・シナトラがカバーして大ヒットしました。
アポロ計画
この曲がヒットした1960年代は、アメリカが月まで有人飛行をする「アポロ計画」に取り組んでいた時期でした。
「Fly me to the moon(訳:私を月に連れていって)」は、その歌詞の内容から、「アポロ計画」テーマソングのようになっていたようです。
実際、月面着陸を達成したアポロ11号には、「Fly me to the moon」のレコードが持っていかれ、船内でも流していたそうです。
「Fly me to the moon」は、人類が初めて月面で聴いた曲ということになりました。
日本での人気
「Fly me to the moon」は、様々な日本人アーティストにもカヴァーされていて、和訳バージョンでアレンジされたり、アニメやテレビ番組、ゲーム、CMに起用されたり、漫画の題材になったりもしています。
中でも、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディング曲に起用された際には、放送ごとに歌手やアレンジが変わり、放送されていないものをあわせると全72バージョンもの録音がされました。
歌詞の意味・内容
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Poets often use many words
to say a simple thing
(シンプルなことを言うためだけに、
詩人は多くの言葉を使うよね。)It takes thought and time and rhyme
To make a poem sing
(詩を歌にするためには、
考えや時間や韻が必要なんだ。)With music and words I’ve been playing
For you I have written this song
(私が今までやってきた音楽や言葉で、
あなたのために歌を書きました。)To be sure you known what I’m saying
I’ll translate as I go along
(私の言うことをあなたがちゃんと理解できるように、
説明しながら進めていくよ。)Fly me to the moon
Let me play among the stars
Let me see what spring is like
On Jupiter and Mars
(私を月まで連れて行って。
星の中で遊ばせて。
木星や火星の春は、
どんなものなのか見せて頂戴。)In other words: hold my hand
In other words: baby, kiss me
(つまりね、私の手を握ってってこと。
他の言い方をすれば、キスしてってこと。)Fill my heart with song
And let me sing forever more
You are all I long for
All I worship and adore
(私の心を歌で満たして。
いつまでも歌を歌わせて。
あなたのことをずっと待ちわびていた。
心から慕えて憧れる人。)In other words: please, be true
作詞・作曲:バード・ハワード、楽曲名:In Other Words、歌手:ケイ・バラード、録音年:1954年、レーベル:デッカ・レコード、リリース年:1954年
In other words: I love you
(つまりね、正直になってってこと。
何が言いたいかっていうと、愛してる。)
「Fly me to the moon」の歌詞は、”私の書いた詩”から”I love you”というメッセージを伝えたいという内容です。
多くのアレンジでは省略されていますが、この曲のイントロには歌詞があります。
Poets often use many words
To say a simple thing
(シンプルなことを言うためだけに、詩人は多くの言葉を使うよね。)
という歌詞で始まり、
For you I have written a song
To be sure that you’ll know what I’m saying
I’ll translate as I go along
(あなたのために歌を書きました。私の言うことをあなたがちゃんと理解できるように、説明しながら進めていくよ。)
という歌詞でイントロパートが終わります。
曲中には、原曲のタイトルにもなっている”In other words”という歌詞が何度か登場しますが、”In other words”というのは、「言い換えると、つまり」といった意味の熟語です。
イントロの歌詞の内容から考えると、”In other words”のあとの内容は”私の書いた詩”の説明をしているとわかります。
“Fly me to the moon”から始まるパートは”私の書いた詩”を歌っていて、その内容を”In other words”以降のパートで説明しているというわけです。
様々なアレンジ・カヴァー作品
フランク・シナトラ
アーティスト:フランク・シナトラ、カウントベイシー楽団
収録アルバム:It Might as Well Be Swing
収録年:1964年
レーベル:Reprise
ジャンル:ジャズ
マーヴィン・ゲイ
アーティスト:マーヴィン・ゲイ
収録アルバム:Motown Unreleased 1965: Marvin Gaye
収録年:1985
レーベル:コロムビア
ジャンル:ソウル、ジャズ
オスカー・ピーターソン
アーティスト:オスカー・ピーターソン
収録アルバム:In Tokyo, 1964
収録年:1964年
レーベル:パブロ・レコード
ジャンル:ジャズ
高橋洋子
アーティスト:高橋洋子
TV番組:新世紀エヴァンゲリオン
収録年:1995年
レーベル:スターチャイルド
宇多田ヒカル
アーティスト:宇多田ヒカル
収録アルバム:BOHEMIAN SUMMER 2000
収録年:2000年
レーベル:TOSHIBA EMI
ジャンル:J-POP
JUJU
アーティスト:JUJU
収録アルバム:DELICIOUS ~JUJU’s JAZZ 3rd Dish~
収録年:2018年
レーベル:ソニー・ミュージックレーベルズ
ジャンル:J-POP
まとめ
いかがだったでしょうか。
楽曲の背景知識や、歌詞にこめられた意味を理解すると、音楽をより深く楽しむことができます。
その他のジャズ定番曲の解説記事もあるので、興味のある人はそちらもご覧ください!