ある程度、アドリブ演奏ができるようになってくると、ジャムセッションができるお店に遊びに行きたくなりませんか?
しかし、いざセッションをしようと思うと、うまく演奏できるか不安になりますよね。
こんにちは。
Jazz2.0編集部の濱田です。
今回は、ジャズのセッションに参加してみたいけど、どうすればいいのかわからないという方に向けて、これだけ覚えておけば大丈夫という曲をまとめました。
セッションをする上で、テーマ(曲)を知っているかどうかは大変重要なポイントです。
『ジャズ・スタンダード・バイブル』のようにセッション頻出曲を網羅している本があります。
このセッション本は、”黒本”と呼ばれ、多くのミュージシャンがジャズのセッションをする上で重宝しています。
しかし、初心者がいきなり数百曲の譜面に目を通すというのも、なかなか難しいかと思います。
ということで今回は、様々なジャズセッション本がある中でも、この20曲さえ覚えておけば怖くない、というものを紹介したいと思います。
もちろん、いきなり20曲というのも大変かと思いますので、実際に曲を聴いてみて、自分が好きだなと思った曲から目を通して行くことのがおすすめです。
それでは参りましょう。
定番曲20選
- All of Me
- Autumn Leaves
- Billie’s Bounce
- Blue Bossa
- But Not For Me
- Bye Bye Blackbird
- Candy
- Days Of Wine And Roses
- Fly Me To The Moon
- I’ll Close My Eyes
- It Could Happen To You
- Just Friends
- Now’s the Time
- Satin Doll
- On Green Dolphin Street
- On the Sunny Side of the Street
- Softly, as in a Morning Sunrise
- St. Thomas
- Take The “A” Train
- There Will Never Be Another You
(アルファベット順)
選ぶのにかなり時間がかかりましたが、この20曲は、全国どこのジャズセッションのお店に行ってもよく演奏されています。
セッションのお店によって、集まってくるミュージシャンの好みなどがありますので、このリストに載ってない曲でよく演奏される曲も多いと思います。
しかし、この20曲を知っているだけでもセッションに積極的に参加できると思います。
それでは一曲ずつ解説していきたいと思います。
All of Me
「All of Me」は、インスト(楽器だけ)でもよく演奏されますが、ボーカリストが入ったセッションでもよく演奏されます。
1932年に、ポール・ホワイトマンとルイ・アームストロングによるレコードで大ヒットし、ビリー・ホリデイ、ベニー・グッドマン、、カウント・ベイシー・オーケストラ、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、フランク・シナトラなど、多くのミュージシャンによってカバーされました。
Autumn Leaves(枯葉)
ジャズを勉強し始めてすぐに練習する曲の中のひとつが、「Autumn Leaves(以下、枯葉)」です。
この曲をセッションで演奏する際には、イントロが場合によって異なりますので注意が必要です。
例えば、キャノンボール・アダレーの『Somethin’ Else』というアルバムに収録されたテイクのイントロで始まる場合もあれば、曲の後ろの8小節をイントロに採用する場合もあれば、イントロを演奏せずに、いきなりテーマから演奏する場合もあります。
Billie’s Bounce
「アドリブをやってみたいけど何から手をつければいいのか分からない」
という方へうってつけなのがジャズブルースと呼ばれるこの曲、「Billie’s Bounce」と、後半に出てくる「Now’s the Time」です。
キーがFのジャズブルースはセッション定番曲がたくさんあり、セッションする場所によっては、最後の締めとしてFブルースをみんなで演奏するところも少なくありません。
Blue Bossa
トランぺッターのケニー・ドーハムの作曲によるボサノバの曲です。
この曲は16小節のCマイナーでよく演奏されます。
アドリブ演奏が比較的しやすいため、初心者におすすめの曲です。
この曲はジョー・ヘンダーソンのデビューアルバム『ページ・ワン』にて収録され、発表されました。
But Not For Me
「But Not For Me」は、本当に数多くのミュージシャンが録音を残している曲で、参考になる演奏も数多くあります。
インスト、ボーカルセッション問わず、いろんな場所で演奏される曲でもあります。
コード進行に「ⅡーⅤ」と呼ばれる、ジャズスタンダードの王道進行が多く含まれていて、この曲をマスターするだけで、他の曲でも十分セッションを楽しむことができます。
Bye Bye Blackbird
「Bye Bye Blackbird」は、ディクソン、ヘンダーソンのコンビが、1926年にジーン・オースティンのレコーディングのために作られた曲です。
ジャズで注目されるようになったきっかけは、マイルス・デイヴィスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』への収録で、その後、多くのミュージシャンがカヴァーしました。
キーFで演奏されることが多く、ジャムセッションの定番曲です。
Candy
リー・モーガンが19歳にして手掛けたリーダーアルバムの演奏が、ジャズの世界では広く知られています。
こちらも「ⅡーⅤ」と呼ばれるジャズスタンダードの王道進行がたくさん含まれており、セッションでよく演奏される曲の一つです。
「Candy」はキーがBbですが、最初のコードはEbM7から始まるので、うっかりしてたまに大惨事になります。笑
Days Of Wine And Roses
「Days Of Wine And Roses」は邦題で「酒とバラの日々」と訳されることから、「酒バラ」の愛称で、ジャムセッションで親しまれています。
原曲は、1962年公開の映画「酒とバラの日々」のテーマ曲で、バラードで演奏していますが、セッションでは主にスウィングのリズムで演奏します。
オスカーピーターソンのアルバム『We Got Requests』に収録されている「酒バラ」はジャズミュージシャンは誰もが知っている名盤です。
Fly Me To The Moon
ジャズをあまり知らない方でも、一度は耳にした方も多いのではないでしょか。
日本ではCMなどでも、よく使用されている楽曲でもある「Fly Me To The Moon」は、もともと「In other words」というタイトルの3拍子の曲です。
これをジョー・ハーネルという編曲家が4拍子のボサノヴァにアレンジ。
それをフランク・シナトラがカヴァーしたことで有名になりました。
セッションでは4ビート以外にも、ボサノヴァで演奏することが多い上、インスト、ボーカル問わず幅広く親しまれています。
I’ll Close My Eyes
イギリスの作曲家、ビリー・リードが1945年に書いた曲です。
原曲はインストでしたが、歌詞がついたヴァージョンで、1947年にミュージカル映画「Sarge Goes to College」で使用されたアレンジがヒットし広く知られるようになりました。
ジャズの世界で一躍有名になったのは、ブルー・ミッチェルのテイクで、「I’ll Close My Eyesと言えばこのテイク」といったくらい有名です。
ボーカルセッションだとバラードでの演奏も多いですが、インストのセッションだとミディアムくらいのテンポのスイングでの演奏が一般的です。
It Could Happen To You
「It Could Happen To You」は、ジミー・ヴァン・ヒューゼンが作曲したジャズの名曲です。
この曲は、数多くのミュージシャンが名演を残しており、これからソロをコピーしたいといった方には参考になる演奏が数多くあるのでおすすめです。
この曲も、インスト、ボーカル問わず幅広く親しまれています。
実際にセッションでは、比較的ゆっくりなテンポのスイングでの演奏が多いです。
Just Friends
「Just Friends」は、1932年に歌手ラス・コロンボという人が歌ってヒットした曲で、チャーリー・パーカーやチェット・ベイカーをはじめ、多くのミュージシャンがカヴァーした曲になります。
原曲は、ゆっくりとしたバラードっぽい歌ですが、ジャズセッションではややアップテンポで演奏される事が多いです。
キーFで演奏することが多いですが、コード進行はいきなりBbから始まる上にややアップテンポなので、初心者の方は他の曲と比べてパニックに陥りがちです。笑
Now’s the Time
「Now’s the Time」は、チャリー・パーカーが1957年にリリースした名作です。
「Billie’s Bounce」同様、キーがFのジャズブルースです。
「Billie’s Bounce」「Now’s the Time」以外にも、ジャズブルースは数多くあり、この他セッションでよく演奏される曲は、「Bag’s Groove」「Au Privave」「Straight, No Chaser」などがあげられます。
Oleo
「Oleo」はセッションでは「循環」と言われ、親しまれているセッション曲です。
コード進行は、英語では「リズムチェンジ」(rhythm changes)と呼ばれます。
というのも、もとはジョージ・ガーシュインが作曲した「アイ・ガット・リズム(I’ve Got Rhythm)」のコード進行だったので、「I’ve-Got-Rhythm changes」から短縮されて「rhythm changes」となったからです。
セッションでは、キーBb、早めのテンポのスウィングで演奏されることが多いです。
On Green Dolphin Street
1947年公開の「Green Dolphin Street(邦題:大地は怒る)」のテーマ曲です。
映画は、「美人姉妹の妹と結婚する予定が、間違って姉に送った手紙により姉と結ばれてしまった男の夫婦生活」というストーリーです。
後に様々なジャズ・ミュージシャンによって演奏され、ジャズのセッション曲として親しまれるようになりました。
アフロビートとスウィングがミックスしていて、アドリブソロの際にはスウィングで演奏されるのが一般的です。
ドラマーやベースの役割が重要なセッション曲となっています。
On the Sunny Side of the Street
「On the Sunny Side of the Street」は、ブロードウェイミュージカル」Lew Leslie’s International Revue」で紹介された後、ジャズのスタンダードナンバーとなった曲です。
テッド・ルイス (Ted Lewis)、デイヴ・ブルーベック、アール・ハインズ (Earl Hines)、ルイ・アームストロング、ベニー・グッドマン、ライオネル・ハンプトン、エロル・ガーナー、ディジー・ガレスピー、アート・テイタム、カウント・ベイシーといった多くのミュージシャンがカヴァーしており、ジャズのセッションでもよく演奏される曲です。
Softly, as in a Morning Sunrise
「Softly,as in a morning sunrise(邦題:朝日のようにさわやかに)」はジャズのセッションでよく演奏される曲の一つで、ミュージシャンの間では、「Softly 」と省略された名前で呼ばれています。
楽曲自体は、さわやかさをあまり感じないかもしれないマイナーキーです。
St. Thomas
「St. Thomas」は、サックス奏者、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』によって、ジャズの世界で親しまれるスタンダードナンバーとなりました。
セッションでもたびたび演奏される曲で、カリビアンのリズムでスタートして、途中ドラムソロを挟んで4ビートに変わり、最後のテーマは、またカリビアンに戻って終わります。
テーマも短く、初心者におすすめの一曲です。
Take The “A” Train
「Take the ‘A’ Train」 (A列車で行こう)」 は、1939年にデューク・エリントン楽団のピアニスト、ビリー・ストレイホーンによって作られた作品で、1941年2月15日にエリントン楽団の演奏でレコードが発売され大ヒットしたジャズの名曲です。
ビッグバンドや吹奏楽をはじめ幅広く演奏されているので、知っている方も多いのではないでしょうか。
セッションでも演奏される曲で、イントロ、エンディングも含めて覚えておきたい曲です。
There Will Never Be Another You
「アナザー・ユー」の愛称で親しまれている「There Will Never Be Another You」。
セッションに行くと、かなりの確率で演奏される曲です。
この曲は、1942年のミュージカル映画「アイスランド」の曲で、ハリー・ウォーレンが作曲した曲です。
1950年に発表されたヴィブラフォン奏者、ライオネル・ハンプトンの録音から、チェットベイカー、ソニースッティト、レスターヤング、アートテイタム、ナットキングコール等、多くのミュージシャンによってカヴァーされました。
セッションの際、曲のエンディングは、1フレーズ半音階上げるパターンが慣例となっていますが、このエンディングは日本だけだそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このようにジャズのセッションで親しまれている曲は、本当に多くのミュージシャンによってカヴァーされており、同じ曲で、様々なミュージシャンの演奏を聴き比べることができるのも、またジャズの魅力の一つです。
ジャズという音楽を学んでいく上でも、同じ曲で、様々なミュージシャンの演奏を聴き比べることは、とても有効です。
もしこれからジャズ演奏を楽しんでみたいという方はぜひ参考にしてみてください。
また、実際にセッションをやる上で、覚えておきたい用語を3つ紹介していますので、こちらの記事をご覧ください。