サックスの艶やかな音色と熱いブロウはとっても魅力的。
「ジャズのサックスを聴いてみたいけど、何から聴けばいいかわからない……。」
「そもそもサックスってどんな楽器なの?」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
というわけで、こんにちは!
Jazz2.0編集部の及川です。
今回は、あまりジャズを聴いたことがないという人にもおすすめの絶対に知っておきたいサックス奏者を5人ピックアップさせていただきました。
そもそもサックスって?
サックスの種類
サックスとは、1840年代にベルギーの管楽器製作者のアドルフ・サックスが考案した比較的新しい楽器です。
きらびやかなルックスから金管楽器と思われがちですが、実は木管楽器なのです。
サックスには音域によって様々な種類があります。
主にジャズで使われるのはソプラノ・アルト・テナー・バリトンサックスの4種類です。
その中でも、特にメジャーなものがアルトサックスとテナーサックスです。
この記事では主にこの2種類のサックス奏者をご紹介します!
サックスを始めるには?
サックスを始めるにはどうしたらいいのでしょうか?
こでは、初心者におすすめのサックスと、楽器以外に必要なものを紹介します。
サックスの値段はピンからキリまで様々です。
安いものは10万円から、人気のあるヴィンテージだと100万円を超えるものまであります。
ジャズサックスの有名なメーカーはこちらです。
セルマー
世界中で愛用者の多い、フランスで最初の総合管楽器メーカーです。
1950年代から70年前半に作られた「マークⅥ(マークシックス)」は、ヴィンテージサックスの中で最も人気のある機種です。
現行のモデルは、2010年に改良されたSA80ⅡJubilee、SERIEⅢJubilee、Referenceが代表モデルとなっています。
ヤマハ
初心者の方からプロ奏者まで幅広い層に支持されている、日本の総合管楽器メーカーです。
価格も10万円代〜で、様々なモデルがあるので出したい音やレベルに合わせて選ぶことができます。
ヤナギサワ
日本のサックス専業メーカーです。
プレイヤーの立場に立ったテクノロジーを重視し、常に一歩先をいく「使いやすさ」を求める精神がひとつひとつのパーツと独自のシステムにいきています。
ソプラノ・アルトサックスの評価が特に高く、海外でも評価の高いメーカーです。
他にもたくさんのメーカーがあるのですが、ここでは特に有名な3つのメーカーを紹介させていただきました。
また、サックスを始めるには、楽器以外にも必要なものがあります。
リード
サックスは、楽器の先端にリードという葦(アシ)で作られたリードを振動させて音を鳴らします。
リードは、材質の硬さでカットの仕方で音色や反応が変わり、サックスを演奏するために重要なアイテムです。
マウスピース
マウスピースは、楽器の先端につける歌口です。
使われている材質はエボナイト(硬化ゴム)や真鍮、合成樹脂などメーカーによって様々です。
吹奏感や音色に大きな影響を与えるため、人によっては何本もマウスピースを購入し、いわゆる「マウスピース沼」に浸かってしまう人も……。
リガチャー
リードをマウスピースに固定するための器具のことをリガチャーといいます。
素材はメーカーによって様々で、金属のものや革、紐などがあります。
価格も3,000円~20,000円と幅広いです。
ストラップ
楽器を購入した際についてくることがほとんどですが、自分の体に合うストラップは吹奏感を良くしてくれます。
ショルダータイプやハーネスタイプなど、様々なタイプがあります。
また、メーカーによってはカラーのカスタマイズが可能なものもあるので、オリジナルのストラップを作るのも楽しいですね。
お手入れ用品
楽器をお手入れすることはとても大切です。
・クリーニングスワブ (管体の水分・汚れを吸収します。)
・クリーニングペーパー (タンポというサックスのキイの裏の部品の水分を吸い取ります。)
・クリーニングクロス (表面の汚れを取り除くために使われます。)
などをご用意ください。
Charlie Parker
絶対に抑えておきたい「ジャズの王様」
ここからは初心者の方におすすめのサックス奏者をご紹介します。
まずはジャズの王様と言われる「Charlie Parker(1920~1955)」です。
Charlie Parker (チャーリー・パーカー) は1940年代に活躍し、ジャズの「ビバップ」という演奏スタイルを創生したアルト・サックス奏者です。
彼やトランペット奏者のディジー・ガレスピーは、それまでダンスホールの音楽だったスウィング・ジャズを即興性の高い芸術に昇華させました。
そして今もなお「バード」の愛称とともに、ジャズの歴史の中で最大の偉人と言われています。
偉大な功績の影で、チャーリー・パーカーはお酒とドラッグに溺れ、1955年に心不全により34歳という若さでこの世を去ってしまいました。
パーカーの死後、ニューヨークでは彼の死を悼み、「バードは生きている(BIRD LIVES!)という落書きで溢れたといいます。
映画監督のクリント・イーストウッドにより、パーカーの半生は伝記映画「BIRD(バード)」にもなりました。
是非チェックしてみてください!
おすすめの音源
Bird and Diz
こちらのアルバムはパーカーと同時期に「ビバップ」の楚を築いたトランペット奏者のディジー・ガレスピーとの作品です。
ジャズのことなど何も知らなかった高校生の頃、私が地元のブックオフで初めて購入したCDがこちらでした。
パーカーの音源は録音環境が悪いものも多いのですが、こちらはリマスター版もあるので比較的聴きやすいと思います。
Charlie Parker with Strings
こちらは名盤中の名盤、チャーリーパーカー・ウィズストリングスです。
ストリングスをバックに朗々と歌い上げるパーカーのサックスは本当に絶品です。
収録されている曲もポピュラーなスタンダードナンバーばかりなので、これからパーカーを初聴くという方におすすめしたい一枚です。
John Coltrane
偉大なるジャズ界の「巨人」
続いてご紹介するのは「John Coltrane(1926-1967)」です。
John Coltrane(ジョン・コルトレーン)はジャズ界を代表するテナー・サックス奏者です。
コルトレーンは1955年にマイルス・デイヴィスクインテットに抜擢され、一気に知名度を上げました。
「ジャイアント・ステップス」で、シーツ・オブ・サウンドといわれる独自の奏法を完成させ、その後、ピアニストのマッコイ・タイナー、ドラマーのエルヴィン・ジョーンズと出会い、62年にベーシストのジミー・ギャリソンを加え、ジャズ史に残る最強のカルテットを結成し、数々の傑作を残しました。
そんなコルトレーンは、67年に肝臓癌により、40歳の若さでこの世を去ってしまいました。
第一線での活動期間は10年余りと短いですが、彼の音楽は死後もなお音楽家たちに影響を与え続けています。
おすすめの音源
Blue Train
実は、ブルーノートレーベルにおけるジョン・コルトレーンのリーダー作は1957年に録音されたこのアルバム、「ブルー・トレイン(Blue Train)」のみなのです。
ジャズスタンダードにもなっている「Moment’s Notice」という曲も収録されています。
Giant Steps
ソロが切れ目なく続く空前絶後のコルトレーンのブローイングは、あるジャズ評論家に「シーツ・オフ・サウンド」と名づけられ、コルトレーンの代名詞にもなりました。
収録されている曲は全曲オリジナルで、その大半が現在ではスタンダード化しています。
Stan Getz
メロディーの天才
続いてご紹介するのはテナー・サックス奏者の「Stan Getz(1927-1991)」です。
Stan Getz(スタン・ゲッツ)は1940年代にベニーグッドマン楽団をはじめとする数々の名門ビッグバンドで演奏し、50年代にはクール・ジャズ、60年代にはジャズの音楽シーンにおけるボサノヴァの代表的なプレーヤーとして人気を集めました。
ゲッツはボサノヴァという当時ブラジルの片隅で生まれたポルトガル語でしか歌われなかった音楽を、ジャズに巧みに取り込んで世界的にヒットさせました。
有名な「イパネマの娘」が収録されている『ゲッツ/ジルベルト』というボサノヴァを創った音楽家のひとり「ジョアン・ジルベルト」とのアルバムは、グラミー賞最優秀アルバム賞に選ばれています。
村上春樹氏の翻訳による自伝
著名な小説家である村上春樹氏は、スタン・ゲッツの音楽を愛するジャズ・ファンのひとりです。
昨年発売された「文學界11月号」では、ジャズ評論家の村井康司氏による村上春樹氏へスタン・ゲッツに関するロング・インタヴューが特集されました。
村上氏はスタン・ゲッツの自伝を自ら翻訳しています。
是非チェックしてみてください。
おすすめの音源
Getz/Gilberto
グラミー賞ではなんとアルバムが2部門(最優秀アルバム賞、最優秀エンジニア賞)を受賞、「デサフィナード」が最優秀インストゥルメンタル・ジャズ・パフォーマンス賞を受賞、「イパネマの娘」が最優秀レコード賞を受賞しました。
この作品を「本来のボサノヴァとは別物である。」と主張する声も多かったのですが、最終的にはアメリカにおけるボサノヴァ・ブームを決定づけた作品となりました。
People Time
こちらは入門編で扱うアルバムではないのですが、私のお気に入りの一枚で、どうしてもおすすめしたかったので掲載しました。
スタン・ゲッツのラストアルバムで、ピアニストのケニー・バロンとのデュオでの演奏です。
暖かで、それでいて哀愁に溢れていて、胸を打つ美しさです。
Paul Desmond
ウエスト・コーストジャズを聴いてみよう
続いてはアルト・サックス奏者の「Paul Desmond(1924-77)」をご紹介します。
Paul Desmond(ポール・デスモンド)はウエスト・コーストジャズを代表するアルト・サックス奏者のひとりです。
ウエスト・コーストジャズとは1950年代、アメリカのロサンゼルスを中心とする、アメリカ西海岸で演奏されていたジャズの総称です。
ポール・デスモンドは51~67年までデイヴ・ブルーベック・カルテットの一員として活躍し、「テイク・ファイブ」などの演奏で知られています。
この曲はジャズにあまり親しみのない方でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ポール・デスモンドの音色は柔らかみがあり、それでいて官能的で、まるでドライ・マティーニのようだと称されます。
おすすめの音源
Time Out
まずはど名盤、デイヴ・ブルーベック・カルテットのTime Outをご紹介します。
こちらのアルバムにはかの有名なTake Fiveが収録されています。
Easy Living
こちらはギタリストのジム・ホールとの共演盤です。
ポール・デスモンドの柔らかな音色とジム・ホールのギターのサウンドが織りなすハーモニーは心地よく、秋の夜長に聴きたい一枚です。
Phil Woods
艶やかで美しい音色
最後にご紹介するのは、アルト・サックス奏者の「Phil Woods(1932-2015)」です。
Phil Woods(フィル・ウッズ)は歌心に富んだアドリブと艶っぽく豊満な音色が特徴のアルト・サックス奏者です。
若き日には先にご紹介したアルト・サックスの巨人「チャーリー・パーカー」の後継者とも言われ、注目を集めました。
フィル・ウッズはディジー・ガレスピーとの共演などでジャズ界での地位を確立させていく一方、ポップスやロック系の作品でも印象的なプレイを繰り広げてきました。
ビリージョエルの名曲でプレイ
ポップスやロック系の作品のプレイの中で、最も有名な録音はビリー・ジョエルの「素顔のままで(Just the Way You Are)」です!
あの曲のアルト・サックスの演奏はなんとフィル・ウッズのプレイによるものだったのです。
また、スティーリー・ダンや、ポール・サイモンといった音楽家とも共演しています。
おすすめの音源
Alive and well in Paris
フィル・ウッズは1968年に渡仏し、ヨーロピアン・リズム・マシーン(The European Rhythm Machine)を結成しました。
その際の録音がこちらです。
一曲目のStolen Momentsのフィル・ウッズの情熱的なサックスはいつ聴いても胸が熱くなります。
Warm woods
フィル・ウッズがキャリアの初期に残した代表作です。
スタンダード・ナンバーを多く収録しており、フィル・ウッズの魅力を存分に楽しむことができる一枚です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、サックス奏者がおすすめするジャズサックス入門として、5名のサックス奏者を紹介させていただきました!
それではまたお会いしましょう。
Jazz2.0編集部の及川でした。