「ソニー・ロリンズってどんな人?」
ジャズを聴き始めるとき、よくおすすめされるミュージシャンとして、ソニー・ロリンズの名前がよくあがります。
また、ストリーミングサービスなどでジャズ初心者向けのプレイリストなどを再生すると、必ずと言ってもいいほどソニー・ロリンズの音楽が組み込まれています。
そこで、こう思うはずです。
「ソニー・ロリンズってどんな人?」
ご紹介が遅れました。
Jazz2.0編集部の濱田です。
普段、自分はジャズトランペット奏者として活動いますが、そんな私が、これからジャズを聴きたい方におすすめするアルバムで、よくソニー・ロリンズのアルバムを紹介します。
それが『サキソフォン・コロッサス』というアルバムです!
ソニー・ロリンズのアルバムで一番売れたアルバム『サキソフォン・コロッサス』は、収録曲がとにかくかっこいいだけでなく、レコードのジャケットも非常にデザイン性が高く、ジャケ買いされることしばしば。
(※ジャケ買いとは、おしゃれを目的にレコードのパッケージの表面のジャケットのデザインでレコードを買うこと)
ソニー・ロリンズはテナーサックスと呼ばれる、中低音が魅力的で表現力も多彩な楽器を演奏します。
なんと今年90歳を迎え、生きる伝説として語り継がれているジャズ界の巨人です。
漫画『BLUE GIANT』の著者、石塚真一さんも、友人の持っていたソニー・ロリンズのレコードを聴いてジャズは凄いと思うようになったと公言されているくらい、ソニー・ロリンズはジャズの凄さ、かっこよさを色濃く表現しているミュージシャンなのです。
そんなソニー・ロリンズについて、紹介します。
それでは参りましょう!
プロフィール
ソニー・ロリンズ、本名セオドア・ウォルター・ロリンズは、1930年9月7日アメリカのニューヨーク生まれ。
11歳でアルト・サックスを始めますが、近所に住んでいた ジャズ・テナーの父 コールマン・ホーキンスに憧れて、17歳のときテナーに転向。
そして高校卒業後、本格的にプロの道に進みます。
若くしてその才能はミュージシャンの間で評判となっていて、当時から神格化されていたそうです。
18歳でJ.Jジョンソンやバド・パウエルのレコーディングに参加し、徐々に頭角を表していきます。
しかし、当時のロリンズはかなりやんちゃだったようで、1950年初頭には強盗で逮捕され、10か月間刑務所に収監されたのち、麻薬所持で再逮捕されています。
そしてジャズの帝王、マイルス・デイヴィスと出会い『Bags ‘Groove』に参加。
1954年には、ソニー・ロリンズは急遽音楽活動を休止し、アメリカで唯一の麻薬中毒者の治療をおこなっていたレキシントンの連邦医療センターに入所していたそうです。
1955年にはクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットの一員として活動再開。
そして翌年1956年には、冒頭でも紹介したアルバム『サキソフォン・コロッサス』が生まれます。
特に一曲目の「セント・トーマス」という曲は、ジャズの名曲の中でも特に代表的な楽曲として、今もなお愛され続けています。
しかし、1950年代末には突如引退宣言。
ソニー・ロリンズは、自分に厳しすぎるところがあり、自身の音楽を見つめ直したいということから、人気最絶頂だった中、惜しまれつつも活動を休止します。
1960年代には再度復活し、当時のトレンドであったフリー・ジャズの音楽のニュアンスを取り入れた音楽スタイルで一躍シーンを席巻します。
しかし、イギリス映画『アルフィー』の音楽制作を担当するなど、映画音楽の世界でも頭角を表しますが、またまた活動休止をします。
当時、精神修行をするためにインドや日本に訪れていたようです。
1970年代には、再度復活し、当時のトレンドであったエレクトリック・ジャズにも取り組み、再び人気を博します。
1981年には、ローリング・ストーンズと共演し、参加した楽曲ウェイティング・オン・ア・フレンドはシングルカットされ、ビルボード全米シングルチャートで13位を記録します。
ジャズ界への長年にわたる貢献が認められ、2011年にはアメリカ国民芸術勲章文化勲章をオバマ前大統領から授与されるなど、ソニー・ロリンズは常にジャズ・シーンの頂点に君臨。
それでも、87歳になる2017年の年末まで、現役プレイヤーとして活動し続けていましたが、肺線維症のため引退を宣言しました。
今年で90歳を迎え、ジャズの生きる伝説として今日も語り継がれています。
個人的には、麻薬による逮捕歴や自信喪失による引退歴、インドや日本で精神修行をするなど、非常に人間的な側面が印象的です。
おすすめの名盤
Saxophone Colossus
これからソニー・ロリンズを聴く方に、まずおすすめなのがこのアルバム『Saxophone Colossus(サキソフォン・コロッサス)』です。
このアルバムに収録されている楽曲全てが非常に完成度が高く、ジャズを聴いたことない方でも、このアルバムを聴けばジャズのかっこよさを感じることでしょう。
なんといっても非常に聴きやすいため、ジャズは難しいイメージがあるという方は是非聴いてみてください。
Tenor Madness
次におすすめなのが、こちらのアルバム『Tenor Madness(テナー・マッドネス)』です。
この時代、ソニー・ロリンズと一緒にジャズ・シーンのトップに君臨していたジョン・コルトレーンというテナーサックス奏者がいました。
このジョン・コルトレーンと共演した作品がアルバム『Tenor Madness(テナー・マッドネス)』です。
一曲目に収録されているアルバム題名曲の「Tenor Madness」は、テナーサックスの素晴らしいサウンドを十分に味わうことができ、非常に魅了されます。
A NIGHT AT VILLAGE VANGUARD
このアルバム『A NIGHT AT VILLAGE VANGUARD』は、1957年11月3日にニューヨークにある老舗のジャズ・クラブ、ヴィレッジ・ヴァンガードで行われた演奏を収録した作品です。
ロリンズにとっても、お店のヴィレッジ・ヴァンガードにとってもライブを収録したアルバムは初の試みでしたが、見事大成功。
のちに、この場所からビル・エヴァンスやジョン・コルトレーンなどがジャズ史に残る名盤を生み出します。
このアルバムでは、2曲目に収録されている「Softly, As in a Morning Sunrise(邦題:朝日のようにさわやかに)」はこの作品の最高名演としてヒットしました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
人間性溢れるソニー・ロリンズの魅力を紹介しました。
まだソニー・ロリンズのアルバムを聴いたことがないという方は、アルバム『サキソフォン・コロッサス』をお楽しみいただけるかと思います。
それではまたお会いしましょう!
Jazz2.0編集部の濱田でした。