ヴォーカルが入るだけでも、音楽の聞きやすさって変わりませんか?歌詞があったり、肉声の音が入ることによって、より親しみやすく寄り添いたくなる音楽になる感覚があります。
それはジャズも同じで、ヴォーカルが入っているジャズを聞くことで、ジャズリスニングが楽しくなります。
また、ジャズでは、トランペットやサックス、ピアノ、ベース、ドラムといった楽器のスーパースターたちが大勢いることで知られていますが、もちろんヴォーカルという人の声によるスーパースターも数多く輩出しています。
そんなヴォーカリスト(シンガー)を今回は厳選してまとめてみました。
というわけでどうもこんにちは。
Jazz2.0編集部の濱田です。
だからこそ、皆さんが普段聴いている音楽や好きな音楽もきっとヴォーカルが入っている可能性が高いと思います。
というわけで、今回はそんなジャズ・シンガーを紹介していきたいと思います。
それでは参りましょう!
サラ・ヴォーン
1924年3月27日ニュージャ-ジー州ニューアーク生まれ。
ソプラノからコントラルトまで幅広いレンジに、美しいヴィブラートの掛かった、オペラ歌手にも匹敵する幅広い声域と、豊かな声量を兼ね備え、大胆なフェイクやスキャットを取り入れた歌唱力をも持ち味とした。
スキャットやフェイクなどの技術も卓越していて、女性ジャズヴォーカリストの御三家のひとりとして数えられている。
ビリー・ホリデイ
1915年4月7日アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア生まれ。
サラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルドと並んで、女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家の1人に数えられる。
黒人ヴォーカリストとして人種差別にも立ち向かい、アメリカ南部の人種差別の惨状について歌った曲「Strange Fruit」はビリー・ホリデイのテーマソングとなった。
ベニー・グッドマン、レスター・ヤング、デューク・エリントン、マイルス・デイヴィスなどとも共演している。
エラ・フィッツジェラルド
1917年4月25日アメリカ合衆国ヴァージニア州ニューポート・ニューズ生まれ。
ビリー・ホリデイ、サラ・ヴォーンと並んで、女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家の1人に数えられる。
ルイ・アームストロング、カウント・ベイシー、デューク・エリントンらとも共演しており、フランク・シナトラからは「完璧」との評価を得ている。
グラミー賞13回受賞、イェール大学、ダートマス大学、プリンストン大学名誉博士号の授与、ジョージ・W・ブッシュによる大統領自由勲章の授与など、名実ともに認められるアーティストである。
ニーナ・シモン
1933年2月21日アメリカ合衆国ノースカロライナ州トライロン生まれ。
ジャズだけでなくポップス、ソウル、R&Bなど様々なジャンルで活躍し、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」第29位、Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」第21位と、現在でもなお高い評価を受け続けている。
公民権活動家、市民運動家としても活動しており、人種差別主義者によるアラバマ教会爆破事件やミシシッピでの公民権運動家殺害事件に対しては「ミシシッピ・ゴッダム」を発表して抗議した。
フランク・シナトラ
1915年12月12日アメリカ合衆国ニュージャージー州ホーボーケン生まれ。
20世紀アメリカを代表するエンターテイナーの1人として数えられており、多くのミリオンセラーを生み出した。
そのアイドル的な人気から俳優としても活躍し、第26回アカデミー賞助演男優賞を受賞している。
「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」においては、第3位にランキングしている。
カーメン・マクレエ
1920年4月8日アメリカ合衆国ニューヨーク州ハーレム地区生まれ。
エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンと並ぶ大御所ジャズ歌手の1人として、活躍し続けたジャズシンガー。
エラとサラと共に女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家と呼ばれることもあるが、ビリーとエラとサラが御三家の定説になりつつある。
ジャズに加えてR&B、ファンク、ポップなどのジャンルも歌いこなす。
ダイナ・ワシントン
1924年8月29日アメリカ合衆国アラバマ州タスカルーサ生まれ。
「ブルースの女王」と呼ばれ、明快な歌詞と安定した音程、独特のヴィブラートをかける歌声が特徴的。
ダイナの唱法は、その後のヴォーカリストたちに影響を与え、ブルージなフィーリングを感情を抑えて歌い上げるそのテクニックは、「シャウトだけでないブルース唱法」として広く知られるようになった。
ヘレン・メリル
1930年7月21日アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ハスキーな歌声が魅力的で、その歌声は「ニューヨークのため息」という愛称で親しまれている。
14歳から第一線で活動し、1954年録音のアルバム『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』に収められた「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」はロング・セラーとなっている。
ノラ・ジョーンズ
1979年3月30日アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨークベドフォードスタイブサント生まれ。
デビューアルバム「カム・アウェイ・ウィズ・ミー」は、全世界で2500万枚を売り上げ、今のところブルーノートからの作品でそこまでの売上を記録した作品は他にないとされている。
また、デビューアルバムは全米チャートでトップを飾り、グラミー賞にてアルバム最優秀賞を含む8賞を受賞するなど、多くのリスナーを魅了した。
インドの伝統楽器シタール奏者で、“インドの至宝”とも呼ばれるラヴィ・シャンカルを父に持つ。
ナット・“キング”・コール
1919年3月17日アメリカ合衆国アラバマ州モントゴメリー生まれ。
ピアニストとして活動していたが、艶のある歌声を買われ歌手としても活動すると、デビュー作「Straighten Up and Fly Right」が大ヒット。
「L-O-V-E」「Unforgettable」「The Christmas Song」など、不朽の名曲を数多く残した。
また、人種差別を超えた先駆者でもあり、アフリカ系アメリカ人のアーティストとして初めてテレビ・シリーズのホストに起用されたことでも知られている。
マーク・マーフィー
1932年3月14日アメリカ合衆国ニューヨーク州シラキュース生まれ。
卓越した技巧と天才的なひらめき、非常に広い音域、器楽的な歌唱が特徴的。
名作レコードのアドリブソロにオリジナルの歌詞をつけて歌う革新的なスタイルをおしすすめ、ダウンビート誌の最優秀男性ヴォーカリストに通算4回選ばれ、グラミー賞にも5度ノミネート。
アニタ・オデイ
1919年10月18日アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ生まれ。
ハスキーボイスと、個性的な歌い方から生まれるメリハリの効いたスウィング感が特徴的。
ジーン・クルーパ、スタン・ケントンなどのビッグバンドで活躍後の『ジス・イズ・アニタ』をはじめとする一連のヴァーヴ録音で不動の名声を獲得。
映画『真夏の夜のジャズ』のアニタの映像は名シーン。
ペギー・リー
1920年5月26日アメリカ合衆国ノース・ダコタ州ジェームズタウン生まれ。
「ラヴァー」「ジョニー・ギター」「フィーヴァー」など数多くのヒットを発表するほか、ジャズ、ポップス、ラテン等、幅広いレパートリーを歌いこなした。
1941年から1943年にかけてはベニー・グッドマン楽団の専属歌手として活躍。
女優としてのキャリアも抜群で、1955年の映画『皆殺しのトランペット』では、アカデミー賞助演女優賞を受賞。
ジュリー・ロンドン
1926年9月26日アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタ・ローザ生まれ。
1944年に映画女優としてデビューを果たすと、1953年から歌手に転向し、本格的にジャズシンガーとしてのキャリアをスタートさせる。
数多くのスタンダード・ナンバーをカヴァーし、中でも「クライ・ミー・ア・リヴァー」は300万枚を売り上げる大ヒットを記録。
そのスモーキーな歌声は「スモーキー・ヴォイス」と親しまれた。
カサンドラ・ウィルソン
1955年12月4日アメリカ合衆国ミシシッピ州ジャクソン生まれ。
80年代はおもにスティーヴ・コールマンらM-BASE派と共演しキャリアをスタート。
1996年と2008年にグラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞し、フォークやブルース、クラシック・ロックなどの要素が加味したジャズの枠にとらわれない音楽スタイルが特徴的で、その幅広い文脈は多くのオーディエンスを魅了している。
セシル・マクロリン・サルヴァント
1989年8月28日アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ生まれ。
2010年、21歳の時「セロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティション」のヴォーカル部門で優勝。
2016年にはグラミー賞「最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム」に輝くなど、現在最も注目を集める女性ジャズヴォーカリストの一人。
サラ・ヴォーンやカーメン・マクレイたちが築いた伝統的ジャズ・ヴォーカルの文脈を継承しつつ、世代やジャンルを越えた現代のヴォーカルシーンにも影響を与えている本格派シンガー。
ジミー・スコット
1925年7月17日アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランド生まれ。
カルマン症候群からくる遺伝子疾患により、変声期を迎えることがなかったものの、そうした体質を克服し、多くの苦難や不遇を乗り越えて、1990年代末にブレイクしたシンガー。
女性と男性の中性的な音域と、非常に美しい音色を兼ね備え、特にスロウ・バラードに見せる歌声は、ジャズ史上トップクラスの地位を確立した。
チェット・ベイカー
1929年12月23日オクラホマ州イエールに生まれ。
トランペットだけでなく、シンガーとしても優れた個性を発揮し大きくの名盤を残す。
ジェリー・マリガンのバンドに加入し注目を集めると、54年のアルバム『チェット・ベイカー・シングス』がヒット。
容姿にも恵まれ、俳優としてもデビュー。
ルイ・アームストロング
1901年8月4日米ニューオーリンズ・ジェーンアレイ生まれ。トランペット、シンガー。
“サッチモ”の名で広く親しまれており、ジャズ・ヴォーカルの開祖的なシンガーとして知られる。
大ヒットした曲には「この素晴らしき世界」、「ハロー・ドーリー!」などがあり、後者はビートルズの3ヶ月間連続1位の記録をストップさせたことで有名。
カート・エリング
1967年11月2日アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ生まれ。
コンテンポラリー・ジャズ界で最も優れたジャズ・シンガーのひとり。
楽器のように声をコントロールするスキャットとインプロヴィゼーションは、スタンダード・ナンバーの解釈が深く、それゆえにユニークなオリジナル楽曲も手掛けるなど、ジャズの文脈上非常に重要なシンガーの一人として、広く知られている。
アビー・リンカーン
1930年8月6日アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ生まれ。
1950年代前半はガビー・リーという名前で活動していたが、1956年にアビー・リンカーンに改名。1962年には名ジャズドラマーであるマックス・ローチと結婚し、ローチはアビーに大きな影響を与えた。
その卓越したヴォーカルの技術は、ビバップからフリーまで幅広いジャンルを歌いこなした。
グレゴリー・ポーター
1971年11月4日アメリカ合衆国カリフォルニア州サクラメント生まれ。
大学時代、フットボール選手として活躍が注目される中、負傷で選手生命が絶望的に。
その後、ブルックリンへ移りジャズクラブで演奏を始め、シンガーとしてのキャリアをスタートさせる。
2010年にアルバム・デビューを果たすと、2014年の『リキッド・スピリット』、2016年の『希望へのアレイ』でグラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムを受賞。
ゴスペルとソウルの文脈をジャズに吹き込み、現在も注目され続けている世界のトップ・ジャズ・ヴォーカリスト。
レイ・チャールズ
1930年9月23日アメリカ合衆国ジョージア州オールバニー生まれ。
6歳の時に失明、フロリダの盲学校で音楽を学び、ジャズ、スウィング、ゴスペル、ブルース、カントリー等あらゆる音楽を吸収し、51年レコード・デビューを果たす。
R&Bのソウル・ミュージックとなる音楽のパイオニア的シンガーとして大活躍し、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」においては第2位に選ばれている。
ヴォーカルだけでなく、サックスやキーボードなどの楽器も演奏することができるマルチプレイヤー。
ベッシー・スミス
1894年4月15日アメリカ合衆国テネシー州チャタヌーガ生まれ。
「ブルースの女帝」と呼ばれ、「建造物を揺るがす」ほどの圧倒的な声量と芳醇な情感を保つ歌唱力で聴衆を魅了した。
1920-30年代で活躍し、のちのポピュラー音楽シーンに大きな影響を与えたシンガーである。
スミスに影響されたシンガーとして、ビリー・ホリデイ、マヘリア・ジャクソン、ジャニス・ジョプリン、ノラ・ジョーンズなどがあげられる。
ジョージ・ベンソン
1943年3月22日アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ。
19歳でプロ・デビュー。
1960年代は純ジャズ・ギタリストとして、ジャズ界で最も注目を浴びる存在になり、70年代以降はシンガーとしてヒット曲を発表したことから、ギター以上にヴォーカリストとしても脚光を浴びる。
独自のスムーズ・ジャズのヴォーカル・スタイルを確立し、ギターでメロディを演奏しながらヴォーカルをオーヴァーダイビングさせてスキャットを歌う奏法が特徴的。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ジャズ・ヴォーカルといっても、様々なスタイル、ジャンルがありましたね。
この記事を通して、お気に入りのジャズ・シンガーが見つかったら嬉しいです。
Jazz2.0編集部の濱田でした。