インターネットを通して、ここ数年間で最も伸びているジャンルといっても過言ではないLofi(ローファイ)。
2018年にSpotifyで急成長したジャンル2位にランクインし、バックグラウンドミュージック、広告など、様々な場面で幅広く使われている音楽で、みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
というわけでこんにちは。
Jazz2.0編集部の濱田です。
ジャズのサンプリングといってもなかなかピンとこないかもしれません。
例えばこちらです。
このLofiの楽曲は、ジャズ・スタンダード・ナンバーである、「I Remember You」という曲がサンプリングされています。
この曲もまた同じジャズ・スタンダード・ナンバーからのサンプリングです。
この曲は、「Just Friends」という曲です。
このように、ジャズのレコード音源がLofiという新しい音楽ジャンルの架け橋となっています。
全てのLofiの音源がジャズのサンプリングというわけではありませんが、それでもジャズのサウンドを基調としています。
それ以外にもLofi、Lofi Hip Hopについて、様々な情報をまとめました。
それでは参りましょう!
Lofiってなに?
「ローファイ」と検索するとこのような解説が出てきます。
1990年代初頭から中期にかけて主にアメリカに出現した、アンダーグラウンドなポップ・ミュージックの一ジャンル。意図的に安っぽい機材を用い、雑音や不明瞭なサウンドを取り入れつつシンプルな編成で演奏される。
(日本大百科全書ニッポニカより)
また、Wikipediaによると、LofiはLow Fidelityの略です。
Lo-Fi(Low-Fidelity、Lo-Fi music)とは、音楽のレコーディングの際の録音状態、録音技巧の一つで、極端に高音質なものではない録音環境を志向する価値観。転じて、そうした要素を持った音楽自体を表す言葉。対義語はHi-Fi。
「LoFi」の対義語は「Hi-Fi」、High Fidelityの略で、原音に忠実な再現という意味があります。
もともと、Lofiは、マイナス要素が強い言葉で、低音質でノイズが入っていたり、あまり良くない録音環境のことを意味するスラングとして1980年代頃から用いられていた言葉でしたl。
しかし近年、こうしたノイズのサウンドや少し歪んだサウンド等が、逆に音楽をひきたてる役割として、YoutubeやSpotifyなどのストリーミングの世界でムーブメントが発生した背景があります。
Lofi Hip Hopとは
Lofi Hip Hopは、ジャズを中心としたサンプリング(サンプル・ネタ)と、ドランクビート(Drunk Beat)と呼ばれるレイド・バック気味の正確すぎず、少しお酒でヨレたような感じの気持ちいいビートで構成される音楽がムーブメントとなって生まれた名前です。
特徴的なサウンドとして、レコードノイズの音、アコースティック楽器の音などがあげられます。また、スローテンポでインスト(楽器中心)であることも音楽的な特徴の一つです。
以前から、こうした音楽は存在していましたが、「ChillHop」「Jazzy Hip Hop」といった呼ばれ方をはじめとした「Jazzy」「Chill」といった類で認識されていました
そんな中、2013年4月23日に公開されたChillhop Musicのプレイリスト『a lo-fi chill beats』に「Lofi」という言葉が使われたのが原点となり、その後、数年間でYoutubeに「Lofi」と形容された様々な再生リストや動画が登場しました。
その後、Youtubeのアルゴリズム(検索結果)がライブ・ストリーミング配信を上位検索ヒットされる仕様となっていることを利用して、「Lofi Hip Hop」というキーワードを含んたライブ・ストリーミング配信が同時多発的に急増したことから、リスナーが爆増していきました。
特に、Lofi Hip HopはBGMとしても機能しているのも特徴的です。
また、こうしたムーブメントは一種のコミュニティを形成しており、ストリーミングや配信を利用したオンラインコミュニティとして、アーティストも認識しています。
Lofi Hip Hopの起源としてJ Dilla、Nujabesがゴッドファーザーと呼ばれていますが、ジャンルが最初に始まった時期と、誰がサウンドを開拓したかについては、LofiHipHop Redditで取り上げられているスレッドをみると議論が示されています。
主要レーベル・ラジオ
Chillhop Music
YouTubeストリーミングを最初に始めたチャンネルであるChillhop Musicは、オランダのロッテルダムを拠点とし、28歳のBasが運営しています。Chillhop Musicは2013年よりレーベルとして活動しており、lofiコミュニティを代表するビートメイカーの作品も多数リリースしているほか、現在はオリジナルのアニメーションのループを用いて運用しています。
Chilled Cow
Lofi Hip Hopを代表するチャンネルのひとつChilledCowは、『日本のアニメーション+チルなビート』というスタイルを定着させたと言われており、フランスはパリ郊外に拠点を置く、23歳のDimitriが運営しています。「lofi hip hop radio – beats to relax/studio to」という名前でストリーミングを開始しており、スタジオ・ジブリの映画『耳をすませば』のワンシーンのアニメーションのループを用いてLofiなビートを延々と流しました。
Lofi Hip Hopの人気アーティスト
tomppabeats
1997年生まれのフィンランドに在住しているトラックメイカー。
2016年にリリースしたLP 『Harbor』がSpotifyで大ヒット。
今日のLoFi Hip Hopシーンに大きな影響をもたらしています。
現在は、ドイツのレーベルであるVinyl Digitalと契約しています。
https://tomppabeats.bandcamp.com/
BROCKBEATS
欧米を中心に世界で大活躍している日本人トラックメイカー。
2015年より活動をはじめ、昨年Spotifyだけで合計1600万回再生されています。
ドイツのレーベルVinyl Digitalと契約しています。
https://brockbeats.bandcamp.com/
Kupla
Youtubeチャンネル、ChilledCowの創設者。
現在チャンネル登録者数は500万人を超え、その勢いはYoutubeだけに止まらず、Spotifyでも月間リスナーが250万人を超えています。
また、現在ChilledCowは23歳のDimitriが運営しています。
スタジオ・ジブリの映画『耳をすませば』のワンシーンをループした動画と、LoFiビートの組み合わせが大ヒットし、LoFiシーンに日本のアニメーションが定着したと言われています。
おすすめYoutubeラジオ配信動画
Chilled Cow
主要レーベル・ラジオでも紹介した「Chilled Cow」は現在(2020/07/19)、2本のライブ配信を行っています。
その中の一つ「lofi hip hop radio – beats to relax/study to」というタイトルで配信しているこちらの動画は、 2020/02/23から今も配信し続けており、現在のlofiの配信シーンの中で最も人気の動画と言えるでしょう。
また、もう一つのライブ配信動画も人気で、lofiシーンでもトップクラスのリアルタイム視聴数を獲得しています。
Chillhop Music
アライグマのアニメーションGIF動画が特徴的な配信となっていて、「Chilled Cow」と同じくシーンに広く知られているチャンネルから発信されています。
「Chillhop Music」も現在(2020/07/19)2本のライブ配信を行っており、こちらの動画はその中でも一番人気の配信となっています。
もう一つの動画はこちらで、どちらの動画も2020/03/21からライブ配信をし続けています。
リアルタイム視聴数も数多く、おすすめの配信です。
STEEZYASFUCK
米ロサンゼルス発のチャンネルで、2012年にチャンネル開設を果たし、これまでに7000万アクセスを超えるリスナーを動員しているチャンネルです。
Yottubeだけでなく、SpotifyやSoundcloudなどでも活動を展開していて、その精力的な発信活動はこれからのlofiシーンにおいて注目が集まっています。
現在このチャンネルからは2本のライブ配信動画があります。
一つは「coffee shop radio // 24/7 lofi hip-hop beats」というタイトルで2020/05/09から配信していて、一番人気の配信となっています。
もう一つは「lofi hip hop radio – beats to sleep/study to ☕️」というタイトルで配信している動画です。
日本語が垣間見えるGIF動画で、こちらは2020/06/23から配信され続けています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
絶えず変化し続ける音楽シーンの一つ、ローファイをご紹介しました。
最近では、ソニー・ミュージックLoFi Beatsを24時間配信するYouTubeチャンネル「Tokyo LosT Tracks -サクラチル-」を開設したり、2020年6月26日よりワーナーミュージックがローファイ・ヒップホップ・コンピレーションアルバム『TIMELESS vol.1』のデジタル配信を開始するなど、大手レーベルも注目し、ますますシーンの拡大が予測されます。
だからこそ、みなさんも是非これから更なる盛り上がりを見せるローファイ・ミュージックを楽しんでいただければと思います。
以上、Jazz2.0編集部の濱田でした。